は、一|人前《にんまへ》になつた子供《こども》が、どんな風《ふう》に母親《はゝおや》のその祕密《ひみつ》を解釋《かいしやく》し、そしてどんな裁《さば》きをそれに與《あた》へるだらうかといふことであつた。
憐《あは》れむだらうか? 厭《いと》ふだらうか? それともまた淺猿《あさま》しがるだらうか? さうしてあの可憐《いぢら》しくも感謝《かんしや》に滿《み》ちた忠實《ちうじつ》な愛情《あいぢやう》を、猶《なほ》その愚《おろ》かな母《はゝ》に對《たい》してそゝぎ得《う》るだらうか? あゝ若《も》しもさうだとしたならば――? 彼女《かのぢよ》はたゞ子供《こども》のために無慾《むよく》無反省《むはんせい》な愛情《あいじやう》のために、自分《じぶん》は着《き》るものも着《き》ずにこれまでにして來《き》たのであるものを。[#「あるものを。」は底本では「あるものを」]
彼女《かのぢよ》の恐怖《きようふ》は、今《いま》までそこに思《おも》ひ到《いた》らなかつたといふことのために、餘計《よけい》大《おほ》きく影《かげ》を伸《のば》して行《ゆ》くやうであつた。彼女《かのぢよ》は新《あら》たなる悔《くゐ》
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