/″\》は彼女《かのぢよ》に同情《どうじやう》を寄《よ》せて、そして二人《ふたり》の孝行《かうかう》な子供《こども》を褒《ほ》め者《もの》にした。誰《だれ》も今《いま》はもう彼女《かのぢよ》の過去《くわこ》に就《つ》いて語《かた》るのを忘《わす》れた。彼女《かのぢよ》の奮鬪《ふんとう》と努力《どりよく》は、十|分《ぶん》に昔《むかし》の不名譽《ふめいよ》を償《つぐな》ふことが出來《でき》た。時《とき》にはまた、あの恐《おそ》るべき打撃《だげき》のために、却《かへつ》て獨立《どくりつ》の意志《いし》が鞏固《きようこ》になつたといふことのために、彼女《かのぢよ》の悔《くゐ》は再《ふたゝ》び假面《かめん》をかぶつて自《みづか》ら安《やす》んじようと試《こゝろ》みることもあつた。彼女《かのぢよ》の悔《くゐ》はいつも反省《はんせい》を忘《わす》れてゐたのである。
月日《つきひ》と共《とも》に傷《きず》の疼痛《いたみ》は薄《うす》らぎ、又《また》傷痕《きずあと》も癒《い》えて行《ゆ》く。しかしそれと共《とも》に悔《くゐ》も亦《また》消《き》え去《さ》るものゝやうに思《おも》つたのは間違《まちが》
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