もつ》といふ荷物《にもつ》は、すつかり送《おく》られた。まづ男《をとこ》が一足《ひとあし》先《さ》きに出發《しゆつぱつ》して先方《せんぱう》の都合《つがふ》を整《とゝの》へ、それから電報《でんぱう》を打《う》つて彼女《かのぢよ》と子供《こども》を招《よ》ぶといふ手筈《てはず》であつた。彼女《かのぢよ》は樂《たのし》んで後《あと》に殘《のこ》つた。さうして新生涯《しんしやうがい》を夢《ゆめ》みながら彼《かれ》からのたよりを待《ま》ち暮《くら》した。一|日《にち》、一|日《にち》と經《た》つて行《ゆ》く。けれどもその後《のち》彼《かれ》からは何《なん》の端書《はがき》一|本《ぽん》の音信《おとづれ》もなかつた。――さうしてそれは永久《えいきう》にさうであつた。
 不幸《ふかう》な彼女《かのぢよ》は拭《ぬぐ》ふことの出來《でき》ない汚點《しみ》をその生涯《しやうがい》にとゞめた。さうしてその汚點《しみ》に對《たい》する悔《くゐ》は、彼女《かのぢよ》の是《これ》までを、さうしてまた此先《このさき》をも、かくて彼女《かのぢよ》の一|生《しやう》をいろ/\に綴《つゞ》つて行《ゆ》くであらう。
 恐
前へ 次へ
全19ページ中12ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
水野 仙子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング