なるものぞ。くだらぬことじゃ。そのようなことは気にかけるが程のものもないわい」
「いいえ、でも、三年の間に三人の違った修験者に観て頂きましたら、三人共みな同じことを申しましたのでござります。それゆえ、ふとしたことからお情頂戴致すようなことになるとか申したその身分の高いお方というは、もしやあの、お殿様ではないかと思うて、気になるのでござります」
「では、このわしに頭《つむり》を丸めいと言うのか」
「あい。末々までもと申すのではござりませぬ。御出家姿となって最初の夜のお情をうけたら、邪気《じゃき》が払われて必ずともに倖《しあわせ》が参るとこのように修験者共が申しましたゆえ、本当にもし――」
「本当にもし、どうしたと言うのじゃ」
「わたくしのような不束者《ふつつかもの》を本当にもしお目かけ下さるならば、愛のしるしに、いえ、あの誓いの御しるしに、わたくしのわがままおきき届け願いとうござります。そしたらあの……」
「身をまかすと申すか!」
「あい……。いいえ、あの、わたくしもう、なにやら恥ずかしゅうて、胸騒ぎがして参りました。あの、胸騒ぎがしてなりませぬ」
 愈々筋書通りに事が運ばれました。しか
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