ながら、同じ魅入るような目で笑いかけると、何が恥ずかしいのか、ぱっとほおに朱紅を散らした娘の肩をなでさするようにして、すうとまた、いま出てきた内陣の奥へ消えました。
「ふふん。とんだお富士教だ。おいらの目玉の光っているのを知らねえかい。おまえにゃ目の毒だが、しかたがねえや。ついてきな」
とっさになにごとか看破したとみえて、むっくり身を起こすと、ちゅうちょなくそのあとを追いました。
内陣の裏には、奇怪なことにも、小べやがあるのです。
杉戸が細めにあいて、ちかりとあかりが漏れているのです。
しかも、小べやのうちにはなまめいた几帳《きちょう》があって、その陰からちらりと容易ならぬ品がのぞいているのです。
夜着とまくらなのでした。
「たわけッ。神妙にしろッ」
がらりとあけると同時です。
すさまじい啖呵《たんか》の突き鉄砲をやにわに一発くらわせました。
「むっつりの右門はこういうお顔をしていらっしゃるんだ。ようみろい!」
えッ、というように緋《ひ》のはかまがふり向きながら、あわてて夜着を几帳の陰に押しかくそうとしたのを、
「おそいや! たわけッ、ぴかりとおいらの目が光りゃ、地獄の
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