うとしたんでござんす。申し立てにうそはござんせぬ。こうなりゃおくにのかたき、切ったやつはまさしく宗左衛門に相違ござんせんから、お慈悲だ、やつらの首もいっしょに獄門台へ並べておくんなさいまし……」
 なぞは解けたのです。
 しかし、相手は小身ながらともかくご直参の息のかかった旗本屋敷の一族なのでした。手続き、身分、支配の相違から、屋敷においてこれを押え取ることはたやすくいかないのです。
 どうして捕《と》るか?
 巧みに屋敷の外へおびき出すか?
 それとも、伊豆守様の力を借りるか!
「ひとっ走り、行きましょうかい。人足ならば伝六ってえいう生きのいいのがおりますぜ」
「…………」
「はええがいいんだ。行けっておっしゃりゃ、ひと飛びにいってめえりますよ」
 いうのを聞き流しながら考えつめていたかとみるまに、ずばりと声が飛びました。
「知恵箱、小出しにしてやらあ! 七造!」
「へえへえ、なんでもいたしますよ」
「しかとやるか!」
「やりますとも!」
「宗左衛門は、今、どこにいるか」
「ゆうべから人殺し騒ぎがつづいているんだからね、今だってもきっとお屋敷にやって来て、兄妹《きょうだい》ふたり、わ
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