ゃ、知恵の浅い深いがおのずとわかることになるんだからね。どうですえ? 敬だんな。右門のだんなは気が長くとも、あっしゃ気がみじけえんだ。早いところどっちかにお決めなさいよ」
 せきたてる伝六をいまいましげににらめつけながら考え惑っていたが、手下の直九、弥太松ふたりに目まぜを送って、さっと立ち上がると、吐き出すようにいいました。
「浅草へ行くわい! かってにせい!」
「えへへ。すうっとしやがったね。浅草へ行くわい、かってにせいがいいじゃござんせんか。くしだんごのところへ行きたくも、あば敬にゃこの判じ絵がかいもく見当がつかねえんですよ。知恵はふんだんに用意しておくものさあ。すっかりうれしくなりやがった。こうなりゃもう遠慮はいらねえんだからね。さあ、出かけましょうよ」
 必死になって駆けだしていった敬四郎たちを見ながめながら、ひとりで伝六が悦に入って促したのを、
「大口たたくもんじゃないよ」
 静かにしたくをしながら、名人がやんわりと一本くぎをさしました。
「偉そうな口をおききだが、そういうおまえはどうだい。みごとにこれがわかるかよ」
「へ……?」
「このくしだんごのなぞが、おまえさんにおわか
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