も人に売るはした女《め》ではござりませぬ。それゆえ、逃げよう逃げようと存じましてずいぶんと争いましたなれど、借金のあるうちはこっちのからだだとおふたりさまが申しまして、いっかな帰しませぬゆえ、子どもたちのことを案じながらも、つい今までどうすることもできずにいたのでござります」
「バカ野郎ッ。やい、いなかのひひじじいのバカ野郎ッ」
聞いてことごとく江戸まえの憤りを発したのは伝六でした。
「腹がたつじゃねえか。話を聞いただけでもむかっ腹がたたあ。つら見せろ。やい! バカ野郎ッ、つらを見せろ!――ちぇッ、なんてうすみっともねえつらしているんだ。そんな肥くせえつらで、江戸の女のそれもこんなべっぴんをものにしようったって、お門が違うぜ。ほんとにくやしくなるじゃねえか。おひざもとっ子のみんなになり代わって、おれが窮面してやらあ。ざまあみろ。もっとおとなしくしていろ。じたばたすりゃ、もっといてえめに会わしてやるぞ」
きゅうきゅうしめあげておくと、伝六のきょうの働きというものはおどろくくらいです。
「そっちのお絹のあまも同罪だ。きっとこりゃひひじじいと相談して、まんまとここへおびきよせてから、いん
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