「いんちきばくち勝ち抜き秘法」
 と、そういう文字が読まれたからです。いや、そればかりではない。ぺらぺらとまくった拍子に、そのいんちきばくち必勝秘伝書の中から、ひらひらと下に舞い落ちただれかの書面らしい紙片がありました。しかも、その紙片には、じつにいぶかしいことにも、あきらかな女文字で、次のごとき文言が書かれてあったのです。
「今宵《こよい》こそまこと上首尾に御座候《ござそうろう》。千葉のいなかよりたんまりとやまぶき色をご用意のおだんな衆が三人ほど参り候まま、万障お繰り合わせご入来《じゅらい》くだされたく、みなみな首長くしてお待ちいたしおり候。かしこ」
 と書いて、そのあとがいかにも奇怪でした。差し出し人のところには変な符丁があるのです。本所と書いて、その下に人間の目を一つ書いて、さらにその下に丸々が三つ――、すなわち、三つの輪が書いてあるのです。
「はあてね。またなぞなぞの判字物が出りゃがった。なんてまあ、きょうはおればっかりにいやがらせをしやがるんでしょうね。え? ちょいと!」
「…………」
「ね! だんな! かなわねえな。三世をかけた主従なんだ。だんなの苦労はおらの苦労、おらの災
前へ 次へ
全55ページ中43ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
佐々木 味津三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング