もっこりと実が詰まっているのでした。しかし、米ではない。ぬかなのです。米のぬかなのです。
「ほほう。これを焼いて、おまんま代わりに食べていたんだな」
「…………」
「え? ねえや! そうだろう。このぬかを、だんごに丸めて焼いて食べていたのだろうな」
「あい……なんにも食べるものがないので、あの……あの……」
「よいよい。泣くな、泣くな。泣かいでもいいよ。ぬかを食べるとは、かわいそうにな……」
 言いながらよく見ると、そのぬかの上がきれいに平手でならしてあるのです。しかも、ならしたその平手の跡は、まさしく子どもの手形でした。むろん、これは不思議といわざるをえない。おそらく、三度三度つまみ出してだんごに焼いたにちがいないと思われるのに、そのつまみ出したあとのぬかが、行儀よく平らにならされているのは、何かその中に秘密のひそんでいることを物語っていたので、ずいと中へ手をさし込んでみると、果然、ぬかの底でばさりと手先に当たった品がありました。薄い小さな横とじの豆本なのです。取り出して、ぬかを払いながら表紙の文字を見ながめるや同時に、名人の目は烱々《けいけい》としてさえ渡りました。いかにも奇怪!

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