と名人がその行く手をふさぐと、伝法にずばりと手きびしい尋問の矢が飛びました。
「逃げるからにゃ、何かうしろぐれえことをしているんだろう。すっぱりいいな」
「へえい。なんともどうも――」
「なんともどうもが、どうしたというんだ。ただ震えているだけじゃわからねえよ」
「ごもっともさまでござります。まことになんともごもっともさまでござりまするが、いかほどおしかりなさいましても、てまえにだってどうもしようがござりませなんだゆえ、てだてに困り、つい盗み出せともったいらしく知恵をつけただけのことなのでござります。それが悪いとおっしゃいますなら、相談うけたてまえも災難でござりますゆえ、どのようなおしおきでもいただきまするでござります」
「ほう。これは少し妙なことになったようだな。やぶからぼうにおかしなことをいうが、てだてに困ってもったいらしく知恵をつけたとは、何がなんだよ」
行者のいぶかしいことばに、名人の疑惑はにわかに高まりました。
「相談うけたてまえも災難だとは、いったいどんな相談うけたんだ」
「どんなといって――、では、なんでござりまするか、何もかもこの小娘からお聞きなすってお調べにお越しな
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