せたらどうするんだ。役にもたたねえ十手なんぞ引っ込めてろッ」
制しながら、名人はあごをなでなでおちつきはらって、小娘のあとからずかずかと押し入りました。
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――その出会いがしら、がなりたてた伝六の声を聞きつけたとみえて、奥の祈祷所の中からいぶかり顔にのっそり出てきたものは、薄ぎたない白衣に同じくあかじみた白ばかまをはいたひとりの行者です。だが、その行者が、ぎろりと怪しく目が光ってひとくせありげなつらだましいでもしているだろうと思いのほかに、よぼよぼとした六十がらみの見るからに病身らしい老爺《ろうや》なのです。しかも、目がよくきかないとみえて、ためつすかしつしながら、しげしげと不意の闖入者《ちんにゅうしゃ》を見ながめていましたが、ひと目に八丁堀衆とわかる巻き羽織した名人のそでの陰に、小娘がおどおどしながらたたずんでいるのに気がつくと、やにわに顔色を変えながら、よたよたとあわてふためいて逃げ出しました。――せつな!
「大笑いだよ。足が二十本あったって、逃げられる相手と相手が違うんだ。神妙にしろ」
ふところ手をしながら、いたって静かなものです。微笑しいしい、とっさにずい
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