娘でござりますのに、やれ隠し男ができたであろうの、目を盗んだみだらな色狂いしているためにこのような細工したであろうのと、口ぎたないはずかしめまでもおっしゃって帰りましたゆえ、すぐにもほんものの預かり雛を捜し出し、娘のぬれぎぬが晴れるよう、どなたかに力となってもらいましょうと存じましたなれど、あいにくなときというものはしかたがおじゃりませぬ。親兄弟親類までが娘の身内は、みんな去年の秋から、殿とごいっしょに帰藩中でおじゃりますゆえ、ふと思い出したのが、そなたさまのおうわさでおじゃりました。密事は密事、情けは情けと、秘密を割ってお願いすれば、どれだけでもご内密にお計らいくださるとのご評判でおじゃりますゆえ、なまなか家中の者に力を借りてよからぬうわさを言いたてられるよりも、いっそ、あなたさまにとこうしてお力におすがり申すしだいでおじゃります。それもこれも、事の起こりはみんなあれなる男雛《おびな》のにせものがもとでおじゃりますゆえ、ようく手にとって、お調べくださりませ」
いいつつ目をしばたたきながら、孫思うご後室は、身も世もないというように、老いのしずくを払い落としました。無理はない。小町娘の
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