右門捕物帖
因縁の女夫雛
佐々木味津三
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)仙台《せんだい》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)大事|出来《しゅったい》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#ここから1字下げ]
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――その第二十二番てがらです。
場所は少しく飛んで、いわゆる江戸八宿のうちの一つの新宿。竹にすずめは仙台《せんだい》侯、内藤様は下がり藤《ふじ》、と俗謡にまでうたわれたその内藤駿河守《ないとうするがのかみ》の広大もないお下屋敷が、街道《かいどう》ばたに五町ひとつづきの築地《ついじ》べいをつらねていたところから、当時は内藤新宿といわれたものですが、品川の大木戸、ここの大木戸、共に読んで字のごとくその大木戸が江戸との境で、事実は町つづき軒つづき、新宿のねこきょうも江戸に通いけり、という戯《ざ》れ句《く》があるくらいですから、江戸八百八町に加えてもさしつかえはなかろうと思われるのに、大木戸を一歩外へ出るともう管轄違いです。だから、罪人のうちにも少し知恵の働くやつがあって、闕所《けっし
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