んとくろうと筋の間に乱用されたものなので、すなわちさいころの中をくりぬいてまず金粉を仕込み、もちろん仕掛けのコロですから容易に看破できないように巧みにこしらえ、しかるのち五なら五と、ある限った一つの目の下になっているかどに、小さく目だたない穴をこしらえておいて、ガラガラポーンと茶わんかなぞで伏せながら、コロをかきまわしているうちに、もしも五の目が上になって仕掛けのかどの穴が下にならば、当然その穴から仕込みの金粉が盆の上とかござの上に、ちかちかと漏れる道理ですから、それが見えればつけ目張り目、賭《か》けた、三二六さあ張っちょくれッ、胴は五の目だ、半目だぞッ、――というかいわないか、それまでは詳しく詮索《せんさく》する必要がないにしても、とにかくそのさいころは右のごときいんちきばくちのいかさま師くろうと筋のみが使用して、悪銭をせしめようとするふらちな道具なのです。
「ほら、みろよ。こいつあ二の目に細工がしてあるとみえて、下からちかちかと金粉が漏れるじゃねえか。気違いや十だの六つだのの子どもが、こんなくろっぽい品を所持しているはずはねえんだ。おそらくは、この家に出入りのやつか、でなきゃ、血筋
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