かいき》な顔をあらわした。陸軍用の車からは、中佐《ちゅうさ》の肩章《けんしょう》をつけた、背の高い、やせ型の、青白い顔の将校が出て来たが、しばらく突っ立って、すこしそり身になりながら、玄関前の景色を一わたり見まわした。
その間に、鈴田が次郎に近づいて来て、
「田沼さんはもうお出でになっているだろうね。」
「はあ、見えています。」
「じゃあ、陸軍省から平木中佐がお見えになったと、通じてくれたまえ。荒田さんから今朝ほど電話でお知らせしてあるんだから、おわかりのはずだ。」
次郎は、横柄《おうへい》な口のきき方をする鈴田に対して、いつになく憤《いきどお》りを感じ、返事をしないまま塾長室に行った。
塾長室の戸をあけると、田召理事長が、すぐ自分から言った。
「陸軍省のかただろう。こちらにお通ししなさい。」
次郎は玄関にもどって来たが、やはりだまったままスリッパをそろえた。
「通じたかね。」
鈴田が次郎をにらみつけるようにして言った。
「ええ、通じました。塾長室におとおりください。」
次郎の返事もつっけんどんだった。
鈴田が荒田老の手をひいて先にあがった。平木中佐は靴《くつ》をぬぎかけ
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