、そのためには、実際にどうふるまええばいいのか。先生は、まさか、ぼくに追従笑《ついしょうわら》いをさせようとしていられるのではあるまい。自然の感情をいつわるところに、何の平和があり、何のあたたかさがあろう。いっさいに先んじて大切なのは、自分をいつわらないことではないのか。)
 そうした疑問が、胸にわだかまって、かれは塾生たちと言葉をかわす気にもなれないのだった。
 そのうちに、ぼつぼつ来賓が見えだした。田沼理事長も、いつもよりは少し早目に自動車で乗りつけた。次郎は、出迎《でむか》えながら、それとなくその顔色をうかがったが、友愛塾の精神を象徴《しょうちょう》するかのような、その平和であたたかな眼には、微塵《みじん》のくもりもなく、そのゆったりとしたものごしには、寸分のみだれも見られなかった。次郎は、ほっとした気持ちになりながらも、一方では、何かにおしつけられるような、変な胸苦しさを覚えた。
 最後に二台の自動車が、同時に乗りつけた。その一つは、荒田老のであり、もう一つは、星章《せいしょう》を光らした大型の陸軍用であった。荒田老は、例によって鈴田《すずた》に手をひかれながら、黒眼鏡の怪奇《
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