も、たいていにしたらどうだ。聞き苦しい。」
 次郎は、これまで、朝倉先生に、こんなふうな叱り方をされた記憶《きおく》がまるでなかった。かれは、ながい間の先生との人間的つながりが、それで断絶でもしたかのような気になり、思わず、がくりと首をたれた。
 朝倉先生は、しかし、すぐまた平静な調子にかえって、
「いつも言うとおり、今は日本中が病気なんだから、友愛塾だけがその脅威《きょうい》から安全でありうる道理がないんだ。病菌《びょうきん》はこれからいくらでもはいって来るだろう。いや、これまでだって、すいぶんはいって来ていたんだ、塾生自身が、ほとんど一人残らず、病菌の保有者だと言ってもいいんだからね。今日は、病菌がすこし大がかりに持ちこまれるというにすぎないんだ。むろん、大がかりな病菌の持ち込みは、できれば拒絶《きょぜつ》するにこしたことはない。しかし、拒絶どころか、表面だけでもいちおうはありがたく頂戴《ちょうだい》しなければならないところに、実は、現在の日本の最大の病根があるんだよ。だから、おたがいとしては、病菌はこれからいくらでもはいって来るものだと覚悟《かくご》して、その覚悟のもとに、病菌を
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