無力にする工夫をこらすほかに道はない。むろんそれは、厄介《やっかい》なことではあるさ。しかし厄介なだけに、うまくその始末がつけば、それだけ塾の抵抗力《ていこうりょく》をまし、かえって健康が増進されるとも言えるんだ。とにかく何事も事上|錬磨《れんま》だよ。その意味で、私は、今日はいい機会にめぐまれたとさえ思っている。こんなことを言うと、君はそれを私の負け惜《お》しみだと思うかもしれんが、しかし、避《さ》けがたいものは避けがたいものとして、平気でそれを受け取って、その上でそれに対処《たいしょ》するのが、ほんとうの自由だよ。それがほんとうに生きる道でもあるんだ。随所《ずいしょ》に主となる。そんな言葉があったね。じたばたしてもはじまらん。わかるかね、私のいっていることが?」
「わかります。」
次郎はかなり間をおいて答えた。かれは、しかし、まだ先生の気持ちを正しく理解していたわけではなかった。事上錬磨という言葉を通じて、権力に対する反抗の機会を暗示《あんじ》されたかのような気持ちでいたのである。
朝倉先生は、次郎の心の動きを見とおすように、その澄んだ眼をかれの顔にすえていたが、急に笑顔になっ
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