「軽率ではありません。これはまちがいのないことです。ぼくは断言します。」
「かりにまちがいのないことだとしても、そんなことを言って、何の役にたつんだ。」
「ぼくは、祝辞をやらせるのは絶対にいけないと思うんです。それをやめていただきたいんです。」
「それは不可能だ。」
「こちらからお願いさえしなけりゃあ、いいんでしょう。」
「そういうわけにはいかないよ。陸軍省からわざわざやって来るのに、知らん顔はできない。それではかえって悪い結果になるんだ。」
「すると、おめおめと降伏《こうふく》するんですか。」
 朝倉先生の眼は、いよいよきびしく光り、しばらく沈黙《ちんもく》がつづいた。しかし、そのあと、先生の唇《くちびる》をもれた言葉の調子は、気味わるいほど平静だった。
「本田は、友愛塾の精神が、だれかの祝辞ぐらいで、わけなくくずれてしまうような、そんな弱いものだと思っているのかね。」
 先生の眼には次第《しだい》に微笑さえ浮《う》かんで来た。次郎はこれまでの勢いに似ず、すっかり返事にまごついた。
 すると、先生は、今度は、次郎をふるえあがらせるほどの激《はげ》しい調子で、
「血迷ったことを言うの
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