ふた月と続稿をのばしているうちに、いつの間にやら一年が経過してしまった。知人のたれかれは、はじめのうち、「もう次郎は育てないつもりか」と、詰問《きつもん》するように言って私をはげましてくれたが、あとでは、そういう声もめったに聞かれなくなり、私としては、気重な気分と共に淋《さび》しい気分まで味わいはじめることになったのであった。
 いっそはじめから書き直すつもりで筆をとろう。そう決心して、あらためて構想をねりはじめたのは、一昨年の暮《くれ》ごろであったが、その新たな構想がまだまとまらないうちに、たまたま、宗教雑誌「大法輪」の編集者がたずねて来て、同誌上に第五部を連載《れんさい》したいという希望をのべた。すでに「新風土」に発表した部分があるが、と答えると、それでも差支《さしつか》えない。新春早々にその第一回をもらうことが出来れば幸いだという。そこで私は、構想に多少の修正を加えると共に、毎回新たに筆をとるような気持で書き出す決心をして、話をまとめることにした。
 いよいよ「大法輪」に連載され出したのは、昨年の三月号からで、終回は今年の三月号だから、その完成に、あらためて一年以上を費やしたわけ
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