めたものである。ところが翌年の三月、その九回目を書きあげたころになって、私のからだの調子がわるくなり、ついに病床《びょうしょう》に横たわる身となってしまった。病気はさほど重いというほどではなく、二カ月ほどで起きあがるには起きあがったが、主治医からは執筆《しっぴつ》を厳禁され、自分でも、それを押しきってまで書きたいという程の意欲はどうしても湧《わ》いて来なかった。一方、個人雑誌「新風土」も、そのために自然|廃刊《はいかん》の余儀《よぎ》なきにいたり、何もかもが当分休止という状態になってしまったのである。
 その後、幸いにして健康が徐々《じょじょ》に恢復《かいふく》し、一冬をこして春になったころには、完全に医者の手をはなれ、執筆の自信も十分に出来、ちょいちょい雑文などを書くようになったが、それでも第五部の続稿《ぞくこう》にはなかなか手がつかなかった。というのは、それに手をつけようとして、すでに書き終った分を読みかえしてみた結果、意に満たない箇所《かしょ》が非常に多く、そのままで稿をつづけることに全く厭気《いやけ》がさして来たからであった。
 こうして毎日重たい気分におそわれながらも、ひと月
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