秘密にすべきことだと思っていた。それを朝倉夫人がどうして大河にもらしたのだろうと、それが不思議でならなかった。大河は、しかし、平気で、
「先生は、これからは、全国|行脚《あんぎゃ》だそうじゃありませんか。いいですね。ぼく、もしお許しが出たら、ついて行きたいと思ってるんです。」
 次郎は、しびれた頭のどこかに急に電気でもかけられたような刺激《しげき》を覚え、眼を見はった。
「本田さんも、むろん、ついて行くんでしょう。」
「ぼく、まだ、そんなこと何も……」
「二人でついて行きましょう。友愛塾の運動は、こんな建物の中でやるより、そのほうがほんとうですよ。ぼく、今度講習をうけてみて、つくづくそう思いました。むろん、それもはじめからじゃ無理かもしれませんが、修了生が五百も全国に散らばっておれば、やり方|次第《しだい》では相当なことができますよ。一回に五十人やそこいらをここに集めてやってるよりか、運動としては、よっぽどそのほうが効果的だと思いますね。」
 次郎は、朝倉先生と三人で、リュックをかついで全国を行脚してあるく姿を心に描《えが》いて、何か楽しい気がしないでもなかった。しかし、かれの眼は、建
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