かかえて塾長室にはいっていった。
「もうちょっとで百名をこえるところでした。それに、志願者の質もたいていはよさそうです。やはり、これまでの修了者の勧誘《かんゆう》がきいたんだと思います。」
次郎は朝倉先生の机の上に書類をおくと、そう言って、いかにも得意そうだった。
「そうか。ふむ。」
と、朝倉先生は、何か考えていたらしい眼でちょっと履歴書のほうを見たが、すぐ机の引き出しをあけて、小さな紙ばさみにはさんだ一|束《たば》の電報をとり出し、それを次郎のまえにつき出しながら、言った。
「しかし、残念ながら、この通りだ。」
次郎はいそいで電報に眼をとおした。おどろいたことには、十五六通の電報が、どれもこれも推薦団体からの志願取り消しの電報だった。志願者の数にして、もうそれだけで五十名近くになっていた。次郎は呆然《ぼうぜん》となって朝倉先生の顔を見つめた。かれは、この五六日、頻々《ひんぴん》と塾長あての電報が来るのを知ってはいた。そしてそれが何か先生の身分にとって重大なことではないかという気がして、不安にも感じていた。しかし、こうした意味の電報であろうとは夢《ゆめ》にも思っていなかったのであ
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