葉がおわると、すぐおたがいの顔を見あったが、その眼は友愛塾のさしせまった運命について何かささやきあっているかのような眼だった。
 ただ大河無門だけは、その間にも、しずかに眼をとじているきりだったのである。

   一三 旅行

 それから一週間は、表面何事もなくすぎた。次郎は、一方では、塾《じゅく》の将来についての予感におびえながら、また一方では、道江《みちえ》からも恭一《きょういち》からも、その後何のたよりもないのを気にやみながら、ともかくも予定どおりの行事をすすめていった。季節はもう武蔵野《むさしの》名物の黒つむじが吹《ふ》きあげるころで、朝夕の清掃《せいそう》にはとりわけ骨が折れたが、同時に水がぬるみ、雑巾《ぞうきん》をしぼる手がかじかむようなこともほとんどなくなっていた。
 友愛塾では、毎回の講習期間の終わりに近く塾長以下全員そろって三|泊《ぱく》四日の旅行をやることになっていた。それは塾の生活を外に持ち出し、特殊《とくしゅ》な教育|環境《かんきょう》において練りあげたものを、世間という普通《ふつう》の社会環境において試《ため》そうというのが主目的であったが、また近県在住の第一
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