いよ。はっはっはっはっ。」
それから急に立ちあがって、窓ぎわを行ったり来たりしながら、
「今日の収穫《しゅうかく》は、あるいはアルコール漬の標本を作っただけだったかもしれないね。そのうち、その標本が瓶《びん》ごと捨てられる時が来るだろう。それじゃ、あんまりみじめではないかね。……こういう時こそ、一人一人が、もっと厳粛《げんしゅく》に……もっと謙遜《けんそん》に、自分を反省してみなくちゃあ。……大事なのは、友愛塾が友愛塾という形で勝つか負けるかということじゃない。かりに友愛塾という容器がつぶされても、君らの一人一人が、まる裸《はだか》でぴちぴち生きているような人間になることだよ。とにかく自己陶酔はいけない。勝ったつもりでいい気になってはおしまいだ。人間は、苦しい時よりも、かえって得意な時に堕落《だらく》するものだからね。……平常心……そうだ、平常心のたいせつなのは、苦しい時よりも、むしろこうした場合なんだよ。」
朝倉先生が、こんなに、物につかれたように、きれぎれなものの言い方をするのは、まったくはじめてのことだった。みんなはおびえたように先生を見まもった。朝倉夫人と次郎とは、先生の言
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