「大多数はやはり勝ったつもりで得意になっていたんじゃないかな。夜の会で議論が出なかったのも、一つは、そのせいだったかもしれないよ。」
「まあ大多数はそうだろうね。しかし、中にはずいぶん考えこんだものもいるよ。現にぼくの隣村《となりむら》から来ていた青年なんか、帰りがけにいやにさびしそうな顔をして、もっと早く友愛塾のことを知っていればよかった、なんて、こっそりぼくに言っていたんだから。」
「ほんとうにまじめな人は、そうだろうね。しかし、そんな人はめずらしいよ。ぼくたちだってここの生活のいいところがわかるまでには、ずいぶんお手数をかけたからね。」
「まあ、しかし、今日はとにかくよかったよ。興国塾の連中はとにかくとして、ぼくたち自身にぼくたちの生活がこれでいよいよはっきりしたんだから。」
「実際だ。ああいう連中といっしょになってみると、それが実にはっきりわかるね。」
 朝倉夫人は涙《なみだ》ぐんでおり、次郎は何かじっと考えこんでいた。すると朝倉先生が言った。
「そんなふうに自己|陶酔《とうすい》に陥《おちい》るようでは、今日は最悪の日だったね。アルコール漬《づけ》になって生きている動物はな
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