さそうですから、すぐ懇親会にうつります。」
次郎は思いきって言った。そしてさっさと予定の計画を進めていった。次郎たちの計画では、しょっぱなから、固い気分を徹底的《てっていてき》にぶちこわすことであった。
そのためには、まず第一に、朝倉先生夫妻をはじめ、友愛塾がわが総立ちになって、例の友変塾|音頭《おんど》を踊《おど》るのが、もっとも効果的だと思われた。この予想はみごとに的ちゅうした。小関氏ただ一人をのぞいては、満場笑いと拍手の渦《うず》だった。とりわけ朝倉先生と大河無門の拳闘《けんとう》でもやるようなぎこちない手ぶりが爆笑《ばくしょう》の種だった。中には朝倉夫人のしなやかな手振《てぶ》りに最初から最後までうっとりと見ほれているものもあった。
つぎは個人のかくし芸だったが、その皮切りにも、大河無門が立ちあがって例の蝉《せみ》の鳴き声をやり、大|喝采《かっさい》だった。それにこたえて、興国塾がわからも、その代表である黒田勇が出て詩吟《しぎん》をやった。満面|朱《しゅ》を注いでの熱演は大河の蝉の鳴き声とは全く対蹠的《たいしょてき》だったが、節まわしはさすがに堂に入ったもので、これも大喝
前へ
次へ
全436ページ中392ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
下村 湖人 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング