思っていたが、そうではなかった。小関氏は、塾長室の窓から見える草っ原に、十人あまりの青年たちが円陣《えんじん》を作っているのを認め、そのほうに出かけて行ったのだった。朝倉先生がそれを知ったのは、かなりたったあと、次郎からの報告によってであった。
「あの班には、大河君がいるんです。」
 次郎はそうつけ加えて、意味のふかい微笑をもらした。朝倉先生はただうなすいただけだったが、それからは、たえず窓ごしに小関氏のほうに眼をひかれていた。小関氏は、青年たちの円陣に加わるのでもなく、かといって遠くにはなれるのでもなく、あたりをうろつきまわったり、急に立ちどまったり、また、たまには腰をおろしたりして、話に耳をかたむけているかのようであった。
 そうして、ともかくもながい数時間が終わって夕食の板木《ばんぎ》が鳴った。
 夕食の食卓《しょくたく》は、これもやはり地域別に配列され、双方の塾生が一人おきに入りまじって座を占《し》めることになっていた。ごちそうはあたたかいさつま汁《じる》だった。食事の作法は、双方のしきたりにかなりなちがいがあったが、郷《ごう》に入っては郷に従ってもらう主旨《しゅし》で、友愛塾
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