に、朝倉先生は近づいて行って、言った。
「どうも相すみませんでした。せっかくおいでいただきましたのに。」
 荒田老は、しかし、それには答えないで、
「小関さんは、塾生をほっておいて帰るわけにもいきませんな。お気の毒じゃ。」
 自動車は気まずい沈黙《ちんもく》のうちに動きだした。四人はそれが門外に消えるまで見おくつていたが、その間も沈黙がつづいた。
 やがて朝倉先生が小関氏を見て言った。
「ともかくも中にはいってお休みいただきましょう。ここではお茶も差しあげられませんし。」
「ええ。」
「塾生たちの様子は、あとで、集まっているところをまわってお歩きになっても、大よそわかると思いますが。」
「ええ。」
 小関氏は、にがりきって、ただなま返事をするだけだった。それでも、朝倉先生が歩きだすと、しぶしぶそのあとにつづいた。朝倉夫人と次郎は、二三間はなれてそのあとを追った。二人はあるきながら、何度も顔を見あったが、口はきかなかった。
 玄関をはいるころになって、小関氏が言った。
「せめて夕食後の時間でも、もっと有効に使ってもらいたいと思いますね。」
「もっと有効にとおっしゃいますと?」
 朝倉先生
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