にたえません。返事が遅《おく》れてすまなかったが、おたずねの人物については、いろいろ考えてみました。しかし、結局僕には見当がつきません。で、思いきって、お手紙をそのまま兄におくり、その返事を求めることにしました。あるいは直接そちらに返事が行くかもしれません。とにかく、この事については、兄自身がすべての責任を負うのが当然だと思います。道江さんもそのつもりで勇敢《ゆうかん》に兄にぶっつかってみてください。切に前途《ぜんと》の光明《こうみょう》を祈《いの》ります。」

   一二 交歓会

 それからの一週間は、次郎にとって、変に矛盾《むじゅん》にみちた明け暮《く》れだった。
 二通の手紙を出したあとのかれの胸には、大きな空洞《くうどう》があいており、その空洞の中を、悔恨《かいこん》と、嫉妬《しっと》と、未練と、そしてかすかな誇《ほこ》りとが、代わる代わる風のように吹《ふ》きぬけていた。しかも、一方では、興国塾《こうこくじゅく》との交歓会をひかえて、その同じ胸が、空洞どころか、重い鉛《なまり》でもつめこんだように心配で一ぱいになっていた。心配といっても、それはむろん、こざこざした準備や、その
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