だけは信じていたいと思います。」
 次郎は、鋭《するど》い切尖《きっさき》がじりじりと胸にせまるような気味わるさと、何もかもが身辺から消えて行くような寂《さび》しさとを、同時に感じながら、最後に残された二枚の便箋に眼を走らせた。
「こんなわけで、私にはその方のお名前を知る手がかりが全くありません。むりやりに父にたずねたら、あるいは、しまいには言ってくれるかもしれませんが、恭一さんのことを私に忘れさせようとして苦しんでいる父を、この上苦しめたくはありません。で、最後にたよるところは次郎さんです。実をいうと私ははじめのうち、こんなことを次郎さんに打ちあけたくはありませんでした。それは次郎さんに軽蔑されそうな気がして、それがこわかったからでもありますが、それよりも、恭一さんがそれをどうお思いになるだろうかと、それが心配だったからです。しかし、今はもうそんなことにかまってはいられません。私は、とにもかくにも、ほんとうのことが知りたいのです。ほんとうのことを知ることが、私のこれからの道を私に教えてくれるだろうという気がするのです。次郎さん、どうか私にお力をおかしください。軽蔑しながらでもいいから
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