胸には、何かしら勇気みたようなものがよみがえってきました。そしてそれと同時に、今は根のない私の希望も、それを大事に胸にさしてさえおれば、きっと根をはやすにちがいない、いや、根をはやさせずにはおかないと思うようになったのです。それにしても、次郎さんと二人で挿木をして楽しんでいたころの記憶《きおく》が、こうした場合に私を力づけてくれるなんて、運命というものは、何とふしぎなものでしょう。」
 次郎の頭に、自然に浮かんで来たのは、いつもかれの人生|哲学《てつがく》の奥《おく》にひそんでいる「無計画の計画」という言葉であった。これは、しかし、この場合、かれにとって何とにがい味のする言葉だったろう。
「次郎さん、今、私がどんな気持ちでいるかは、これでもうおわかりくだすったことと思います。私はむろん悲しいには悲しいのですが、決して悲しみに負けてはいません。それだけはどうぞご安心ください。そして、もし私の今の気持ちをお認めくださいますなら、私がこれから進もうとする道にお力をおかしください。実は、私は、はじめのうち、私を思っていてくださるという恭一さんのお友だちがどなたであるか、知りたいとは少しも思いま
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