先を読んだ。今となっては、手紙を読みやめるのが卑怯《ひきょう》なような気がしたのである。
「そのあと、親子二人がどんな汽車旅行をつづけたか、また家に帰りついてから今日までの日々を、私がどんな気持ちですごしたか、それはいっさい次郎さんのご想像にお任せいたします。ただ私がこの数日間に考えましたことの中で、ぜひ次郎さんに知っておいていただきたいことがあります。それは、私のこれまで抱《いだ》いて来た希望が、全く根のない切り花のようなものであったとしましても、私はその希望を恥じても悔《くや》んでもいないということです。むろん、根のないものを根があるように信じこんでいた私の愚かさは、笑われても致《いた》し方ありません。しかし、その愚かさの中で育った希望そのものは、私にとっては、もう決して愚かな希望ではないのです。それどころか、それは私の生命の花であり、私の生命のあるかぎりは、たとえ根はなくとも決して枯《か》れることのない花なのです。私はその花を、根のないままに私の胸にさして一生を終わりたいとさえ思っているのです。次郎さんは、それを少女の感傷にすぎないとしてお笑いになるでしょうか。」
次郎は笑うど
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