この研究会における大河無門のはたらきは、実際すばらしかった。かれは、ひる間の読書会のおりに読みあげた「夜話」の一節をもう一度くりかえし、政治革新のために暴力を用いることの罪悪を痛論するとともに、いっさいの建設は個々人が脚下《きゃっか》を照顧《しょうこ》しつつ、一隅《いちぐう》を照らす努力を払《はら》うことによってのみ可能であることを力説し、最後にそれを青年団と政治の問題に結びつけた。
「青年団の政治革新への協力の第一歩は、青年団自体の、共同生活をみごとに組織だてることであり、つぎは郷土社会の実体を研究して、その将来の理想化を準備することである。もしこの二つのことに十分の成功を収めるならば、府県政や国政の腐敗《ふはい》堕落《だらく》はおのずからにして救われるであろう。」
要するに、これがかれの結論であった。かれはこの結論を引き出すために、巧《たく》みに「夜話」の中の言葉を利用した。そして、その間にかれが示した気魄《きはく》と機知と、明徹《めいてつ》な論理と、そして自然のユーモアとは、異変に眩惑《げんわく》されていた塾生たちを常態に引きもどすのに大きな役割を果たしたのである。
青山敬太
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