導したり、あるいはいっしょにして討論会みたようなことをやらせたりしようというのですから、こちらとしては、どうもお受けするわけには行かなかったのです。」
「ふうむ。そんなことで友愛塾を押しつぶそうなんて、小関君もなかなかの自信家だな。すると、今度もその手で来るかもしれませんね。」
「そういうことも考えられますが、まさか理事長がそれをご承諾《しょうだく》なさるようなことはありますまい。」
「ええ、それはだいじょうぶ。しかし今度は理事長もお骨が折れますね。何しろあの荒田老人が正面きって口をききだしたんですから。」
 それまでだまって二人の話をきいていた朝倉夫人が、涙声《なみだごえ》になって言った。
「ほんとうに、田沼先生のお気持ちはどんなでございましょう。先生は、どういう方に対しても、けんか別れなんか決してなさらない方ですし、そして守るところはちゃんとお守りになる方だけに、なみたいていのご苦心ではなかろうと思いますわ。」
 次郎は、むろん、田沼先生の強い面もあたたかい面も、もう知りすぎるほど知っていた。しかし、先生が大きな難局に当面して、その二つの面を、実際にどう調和して行くかを、まのあたり
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