らこちらで不服らしい私語がはじまった。すると、飯島好造が心得顔にいった。
「読書会を夜にして、このまま話をつづけたらどうでしょう。夜になると、田沼先生も小川先生も、いらっしゃらないでしょう。こんな話は、やはり両先生にもきいていただくほうがいいと思うんです。」
「私は、そうゆっくりはしておれない。」
と、田沼先生は腕時計を見ながら、
「それに読書会は読書会で、あたりまえにやるほうがいい。何もあわてることなんかないんだからね。やはり、朝倉先生がいつもいわれるように、大事なのは平常心だよ。それをなくしちゃあ、伺を話しあってみても、いい結論が生まれるわけがない。」
そのとき、事務室から、けたたましい電話のベルの音がきこえて来た。次郎は、はじかれたように座を立って行ったが、すぐもどって来て、かなり興奮した調子で、田沼先生に言った。
「荒田《あらた》さんからです。急に先生にお目にかかりたいんですって、ご自分でこちらに来てもいいといわれますが、どうご返事しましょう。」
「そうか。」
と、田沼先生はちょっと首をかしげたが、
「私、電話に出てみよう。」
田沼先生が広間を出て行くと、みんなは申しあ
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