しかし、だからといって、そのために、今度のような事件が起こるのもやむを得ないなどとは、なおさら思わない。日本には、憲法というものがあるからね。」
「ぼくは、政党がこんなに堕落《だらく》していては、議会政治なんかだめだと思うんです。」
「なるほど。」
と、田沼先生はまじめにうけて、
「どうです、朝倉先生、今の意見は日本が憲法政冶を否定するかどうかという大問題をふくんでいるようですが、あとでじっくり時間をかけて話しあってみられては?」
「ええ、そういたしましょう。」
と、朝倉先生もまじめにこたえ、次郎のほうを向いて、
「今夜の研究会の問題は何だったかね。」
「青年団と政治ということになっています。」
「じゃあ、ちょうどいい。今夜は、今度の事件を中心に、いま、田川君が言ったような問題をまず論じあって、それから、青年団と政治の問題にはいることにしよう。……どうだい、研究部のほうは、それでいいね。」
「結構です。」
答えたのは青山敬太郎だった。今週は第三室が研究部を受け持っていたのである。
みんなの興奮した感情は、しかし、事件についての論議を夜までのばす気持ちにはなれなかったらしく、あち
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