今日はむろんはじめから、次郎とならんで席についていた。
「今日は、非常に残念なことを、諸君の耳に入れなければならないが――」
と、田沼先生は、いつものにこやかな態度に似ず、いかにも苦しそうに話し出した。言葉はきわめて平凡《へいぼん》で、刺激的《しげきてき》な形容詞など一語も使わなかった。ただ実際に見聞した事実を、それも要点だけ、ごく手短かに話したにすぎなかった。ただ最後に、いくぶん調子をつよめて言った。
「勅命《ちょくめい》なくして兵を動かし、重臣を殺害したということは、明らかに叛乱だ。そういうことが日本にあろうとは、諸君は夢《ゆめ》にも思わなかったにちがいない。しかし残念ながらこれは事実だ。私は、今日は取りあえずその事実だけを諸君の耳に入れておく。いずれこれからは、いろんな報道がつたわるだろうと思うが、その中には、デマもあるだろうし、雑音もまじるだろう。しかし、私が話したことだけは、間違《まちが》いのないことだから、それを基礎《きそ》にして、これからのすべての報道を冷静に判断してもらいたい。」
塾生たちのうけた衝撃《しょうげき》は、むろん大きかった。先生の言葉が、いつもに似ずしぶ
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