うあと二十分しかないが、塾としてこの事件を、どういう態度で取り扱《あつか》って行きましょう。実は、私は、デマがおそろしかったので、私自身の見聞《けんぶん》で、正確なところをみんなに話しておきたいというだけの考えでやって来たんですが、塾長に何かとくべつのお考えがあれば、それもふくんでいて話すほうがいいと思いますが。」
 次郎は息をのんで朝倉先生の答えを待った。朝倉先生は、しかし、あんがい無造作《むぞうさ》にこたえた。
「塾としては、やはり理事長がさっきおっしゃったように、国民全体の責任というような考え方で行くよりほかありませんし、その点を反省させながら、できるだけ落ちついて、これまでどおりの生活をつづけて行きたいと思いますが。」
「結構ですね。」
 と、田沼先生も無造作にうなずいたが、すぐ、
「しかし、だからといって、事件の批判をあいまいにしておきたくはないものですね。」
 朝倉先生は、けげんそうな眼をして田沼先生を見つめた。すると、田沼先生は、ちょっと次郎のほうを見たあと、苦笑しながら、
「批判などというと、大げさにきこえるかもしれませんが、何も軍の内情まであばきたてて、かれこれ言おう
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