た。
 叛乱《はんらん》に参加したのは、近衛歩兵《このえほへい》第三連隊・歩兵第一、第三連隊・市川|野戦砲《やせんほう》第七連隊などの将兵の一部で、三宅坂《みやけざか》・桜田門《さくらだもん》・虎《とら》の門《もん》・赤坂見附《あかさかみつけ》の線の内側を占拠《せんきょ》し、陸軍省・陸相|官邸《かんてい》・参謀《さんぼう》本部などはもとより、警視庁もすでにその占領下《せんりょうか》にあり、各所に立てられた旗じるしには、「尊王討姦《そうんのうとうかん》」の四文字が書かれている。暗殺された重臣中、すでに確実となったのは、斎藤実《さいとうまこと》・高橋是清《たかはしこれきよ》・渡辺錠太郎《わたなべじょうたろう》、といった人々で、そのほかに、牧野伸顕《まきののぶあき》・鈴木貫太郎《すずきかんたろう》の二重臣も襲撃《しゅうげき》をうけたらしいが、その生死はまだ確実ではない。総理大臣の岡田啓介《おかだけいすけ》も消息不明だが、十中八九、官邸で殺害されているだろう、というのであった。
 なお、朝日新聞社襲撃も事実で、暗殺|終了後《しゅうりょうご》、午前九時ごろに、トラック三台に分乗した叛軍の一部が、
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