ら出迎《でむか》えると、先生は、まだ靴《くつ》もぬがないうちに言った。
「ちょうど、昼になってしまったが、私のぶん、食事の用意ができるかね。」
「はい、用意しておきました。」
「用意しておいた? 私が来るの、わかっていたのかい。」
「ええ、お宅にお電話をしましたら、こちらにお出《い》でになるようにおっしゃったものですから。」
「ふうむ――」
と、先生が、けげんそうに次郎の顔を見ているところへ、朝倉先生がやって来て、
「お待ちしていました。雪の中を大変だったでしょう。」
「いや――」
と、田沼先生は次郎にオーバーをぬがせてもらいながら、ちょっと声をひそめて、
「東京のさわぎ、もうこちらにもわかっているんですね。」
「ええ、あらまし。……大学にかよっている、本田君の兄から電話で知らしてくれたものですから。」
「なるほど。……ここだけは別天地《べってんち》だなんて考えるわけには、いよいよいかなくなって来ましたかね。はっはっはっ。」
朝倉先生も笑った。が、すぐ真顔になり、
「実は小川博士もお待ちかねです。今日はちょうどご講義の日でお見えになっていたものですから。」
「ああ、そう。それは好
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