せまい室内を歩きまわりながら、暗殺された重臣たちの顔ぶれを想像して見た。それは、しかし、かれには皆目《かいもく》見当がつかなかった。また、かれは、全国の軍隊が真二つに割れ、敵味方になって弾丸《たま》をうちあう場合のことを想像してみた。内乱などということは、外国のできごとだとしか考えていなかったかれにとっては、それは全く思慮《しりょ》にあまることだった。まさか、という気持ちと、今にもそこいらから銃声がきこえて来そうに思える気持ちとの間に、かれはただ、うろうろするばかりであった。
友愛塾の運命、ということが、しだいにかれの頭をなやましはじめた。それは内乱というとほうもない大きな事態の下では、まるで問題にならない些事《さじ》のようにも考えられたし、また、その反対に、そういう事態になるような国情だからこそ、かえって軽視できない、というふうにも考えられた。しかし、いずれにせよ閉鎖《へいさ》の運命はまぬがれないだろう。内乱状態が間もなく鎮定《ちんてい》されるにせよ、ながくつづくにせよ、また、いずれの派閥《はばつ》によって勝利が占《し》められるにせよ、政治の全権が軍の手に握《にぎ》られる以上、こう
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