らく青年将校が主動者になっていると思うが、それも、もとをただせは巨頭連の派閥争いが原因さ。こんなふうで、日本も結局行くところまで行くのかな。」
朝倉先生は、そう言って、深いため息をつき、窓の外に眼をやったが、しばらくして、
「日本では、雪の日によく血なまぐさい事件が起こるものだね。四十七士の討ち入り、桜田門外《さくらだもんがい》の変、……しかし、今度の事件ほど暗い運命的な感じのする事件はないね。何だか、国民全体が浅はかな野心《やしん》のためにくずれて行くような気がするよ。」
朝倉先生は、これまで、どんな悲観的な問題について話しても、きく人の気持ちまでを陰気《いんき》にさせるようなことはなかった。先生の言葉の奥《おく》には、いつも強い意志が動いていたからである。しかし、今日はそうでなかった。次郎は、きいていて、くずおれそうな気持ちになり、雪の反射で異様に明るい室の空気の中に、しょんぼりと眼をふせていた。
すると、朝倉先生は、急に自分をとりもどしたように、椅子《いす》から立ちあがり、窓のほうにあるきながら、言った。
「しかし、できてしまったことは、できてしまったことだ。悔《くや》んで
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