の交通が自由でないそうだ。」
「ふうん。」
「重臣がだいぶ殺されたらしいという噂《うわさ》もとんでいる。」
「ふうん。」
「総理大臣|官邸《かんてい》はたしかにやられたらしいんだ。そのほか、どういう人がやられたかわからんが、何でも、二人や三人ではないらしいよ。」
「ほんとうかい。」
「どうも、ほんとうらしいね。」
「すると、全くの叛乱《はんらん》じゃないか。」
「そんな風に思えるね。クーデターと言ったほうが適当かもしれんが。」
「なるほど。とにかく大変だね。街は大さわぎだろう。」
「大さわぎというより、今のところ、不安で身動きができないといった形だ。」
「オフィスや商店は戸をしめているのかい。」
「そんなことはない。丸の内付近はどうかわからないが、一般《いっぱん》は、表面べつにまだ変わった様子は見せていない。もっとも、雪のせいで、人通りも少いがね。」
「民間から暴動がおこるというような気配《けはい》はないのか。」
「それはないね。今のところは、軍人だけの仕事のように思えるんだ。もっとも、農民と何か連絡《れんらく》があるかもしれん、なんて噂もとんでいる。」
「それは、どんな人が言うんだい
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