せながら、湯ぶねを出て、からだをふいていたが、みんなの笑い声がしずまると、言った。
「大河君の考えている恋愛と、君らの考えている恋愛との間には、かなりのへだたりがありそうだ。うっかり安心して、やたらに恋文を書いていると、今に大河君に叱られるかもしれないよ。」
みんなは、それでまた笑った。しかし、その笑いは、まえほどにぎやかではなかった。
次郎も、大河の議論のはじまる前から浴室にいた一人だったが、かれは、大河が話している間、湯ぶねの中には一度もはいって来なかった。それどころか、しじゅう自分の顔を大河からかくすようにさえしていたのである。しかし、だれよりも熱心に耳をかたむけていたのが、かれであったことは言うまでもない。
かれは、むろん、大河の言葉のすべてを肯定《こうてい》した。しかし、肯定すればするほど、やり場のない感情がかれの胸をしめつけ、ゆすぶり、にえたぎらした。
それは後悔《こうかい》でもあり、自嘲《じちょう》でもあり、怒《いか》りでもあった。かれは浴室に立ちこめた濃《こ》い湯気《ゆげ》の中にじっと裸身《らしん》を据《す》え、ながいこと、だれの眼にも見えない孤独《こどく》の狂
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