のあらゆる創造の源《みなもと》なんですから、それが正しく評価され、堂々と生かされないかぎり、すぐれた個人も、すぐれた民族も、すぐれた文化も生まれない。したがって、いわゆる精神主義とか鍛練《たんれん》主義とかで、どんなに力んでみても、国は衰《とおろ》えるばかりだということを、ぼくたちは忘れてはならないと思うんです。」
大河はそこまで言って、みんなの注意が自分に集まっているのに、はじめて気がついたらしく、急に口をつぐんで、にこりと笑った。そして、もう一度、とっぷりと湯にひたり、首を湯ぶねのふちにもたせかけた。
「さすがはお釈迦さまだ。これからは、みんな安心して、恋文が書けるぜ。」
だれかが浴室のすみから、そんなことを言った。すると、また、べつの声で、
「恋文なら、もう安心して書いているんじゃないか。現に今日もたくさん出たんだろう。」
「しかし、それは時局がら憂うべき傾向だなんて憤慨《ふんがい》した人もいたからね。」
それで浴室はまたにぎやかになり、笑い声がうずまいた。大河は、しかし、もうにこりともしなかった。
朝倉先生は、何かものを考えるときのくせで、その澄《す》んだ眼をぱちぱちさ
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