か。」
「そうかもしれないね。何と言ったって、恋愛は本能的なものだから。しかし、恋愛のほうの比重が大きければ、それが、どうだというんだね。」
「ぼくは、日本の青年は、恋愛について、もっと正直であってもいいと思うんです。」
「というと、恋愛の比重が大きければ、公けの義務なんか、けっとばしてもいいと言うのかね。」
「一概《いちがい》にそうは考えていないんです。人間が組織の中に生きている以上、いっさいの個人的関心を乗りこえて果たさなければならない公けの義務があることは、ぼくも知っています。ただ、ぼくがおそれるのは、青年たちが、自分の心に問うてみて非常に比重の大きい、しかも、当然生かしてもいい、いや、進んで生かさなければならない純潔な恋愛までを、時局とか、国家の要請とかいうような意識で、むりにしめ殺しているんではないか、しめ殺さないまでも、その価値を不当に低く見ようとしているんではないか、ということです。」
「うむ、たしかにそういう憂《うれ》いはあるね。」
「しかも、時局とか、国家の要請とかいったような意識が、しっかりした理性に導かれたものであれば、まだいいのですが、たいていは、マンネリズムと
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