、何かおもしろそうな問題らしいが、私では相手にならんかね。」
「ええ――」
 と、大河はにっと笑って立ちあがり、湯ぶねのふちに腰《こし》をおろしながら、
「先生は、恋愛をやられたとしても、時代が古いでしょう。」
「古くては、問題にならんかね。」
「全く問題にならんこともありませんが――」
 と大河は真顔になり、
「実は、ぼくは、世間できわめて重大だと考えている公《おおや》けの問題、たとえば現在でいうと、国家の非常時というような問題に対して、恋愛というものが、その本人にとって、実際どのぐらいの比重をもつものか、正直なところをきいてみたかったんです。」
「ふむ。」
 と、朝倉先生も真顔になって首をかしげた。
「むろん、恋愛か、戦場か、という問題につきあたった場合、日本の青年たちが実際にとる態度はもうきまっています。よほど変わった青年でないかぎり、国家の要請《ようせい》のまえには恋愛などは何でもないといった態度をとるんです。しかし、そういう態度がはたして恋愛の比重を正直にあらわしたものかどうかは、疑問だと思うのです。正直なところは、むしろ恋愛のほうの比重が大きい場合が、多いんじゃないでしょう
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