時に君自身の幸福のためでもある、とぼくは信ずるのだ。――なお、これはついでだが、こないだちょっと話したこと(ぼくが塾の助手をやめる問題)は、もっとぼく自身でよく考えてみたい。君や大沢《おおさわ》さんに相談する必要があったら、あらためて通知するから、それまでは気にかけないでおいてくれ。このことを道江の問題などと結びつけて考えてもらうのは、むしろ滑稽《こっけい》だ。」
 かれは封筒を書きおわると、今度はすぐ切手をはって、事務室に備えつけてある発信ばこに投げこんだ。――午後二時半になると、郵便物当番の塾生が、その中のものをひとまとめにして、近くの郵便局にもって行くことになっているのである。
 間もなく板木《ばんぎ》が鳴った。午後は屋外作業で、くぬぎ林の枝《えだ》をおろして薪《まき》を作る予定になっていたのである。塾生たちは、いったん玄関《げんかん》前に集まり、班別にわかれてすぐ作業にとりかかった。
 入塾後、すでに二週間近くになっていたので、作業は割合順序よく運ばれた。木にのぼって枝をおろすもの、おろされた枝を一定の場所に集めるもの、集められた枝を適当な長さに切るもの、切られた枝を縄《なわ》
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